1952年に愛知県小牧市で岐阜県東濃産の木材を加工する小さな工場から始まった佐橋工業は、70年を経た今も、小牧市と下呂市を拠点にものづくりを続けています。その主力事業は数々の変革を経て、自動車や電車に乗る人びとの安全と快適をまもる「防振ゴム」の製造へと変わり、今では日本のほとんどのカーメーカーに部品を供給する「縁の下の力持ち」を自任しています。自動車産業にとって百年に一度の変革期と言われる現在、電動車両関連部品の受注も増えています。また、もう一つの柱として挑戦してきた産業用防振ゴム事業は、コロナ不況下で貴重な支えとなりました。挑戦と変革の精神が我々の持続的発展の支えとなっています。
当社は、防振ゴムのトップメーカー「住友理工グループ」の一員で、その国内最有力仕入先でもあります。防振ゴム製造に関しては、金具の表面処理からゴムの射出成型、組付けまで行える一貫工程が特徴です。その心臓部である金型を社内設計するほか、独自の生産技術として、ロボットや画像処理を活用した省人化設備の設計・製作や、IoTによる生産性向上などでも、社内のエンジニアが活躍しています。私たちは、自動車産業が集積した中部地方ならではの「ものづくり」にこだわり、腕を磨き続けます。
将来への取り組みも加速しています。繊維強化樹脂のスタンピング成型に始まり、最近は再生グラスウールを「アップサイクル」したエコな樹脂成型機洗浄材や、オリンピックの表彰台に採用された3Dプリンタ用樹脂材料の技術開発受託など、樹脂と繊維のコンパウンド技術が評価されています。また、カーボンファイバー強化樹脂の成型技術を磨き、スポーツ用品などに採用が始まりました。まだ小さな芽ばかりですが、若い世代が精力的に挑戦してくれており、成長が楽しみです。
地域社会の一員としては、ハンディキャップや性別・出身国の隔てなく、全員のチームワークで独自の「ものづくり」技術を培うとともに、地域文化の発展にも貢献していきます。地元大学では、デザインの視点からものづくりの魅力を伝えたり、音楽を通して成長への意欲を育てたりするワークショップを開催。高校部活動のスポンサー応援も行っています。環境に配慮した持続的な発展の実現についても、’22年QCサークル高山大会で、リサイクルへの取り組みが高山市長賞を受賞したほか、’23年には萩原工場に太陽光パネルを設置するなど、微力ながら力を注いでいます。今後も「みなさまの安心と快適を守るよき企業市民」であるために挑戦を続けて参りますので、ご支援を賜りますようお願い申し上げます。